がれき処理について思うこと
広域がれきの処理と、川越市議会の決議に対して個人的に感じていることを少し書いておく。
あくまでも、私個人の見解で、党や議会の共通認識ではないのでご承知おきいただきたい。
まず、ガレキの処理に関して危惧される問題は、すぐに想定されるものだけでも以下ようなものがある。
・放射能に汚染されているガレキは、汚染されている地域の中に閉じ込めるべき。広域に処理することは放射能の拡散になるため、やるべきでない。
・ガレキ処理を処分するには焼却などの方法が必要になり、どこかで受け入れた場合には、その処理で実際に大きな影響を受けるのは焼却処理場近隣の住民となる。
・ガレキには様々な混入物があり、焼却処理を行う場合には処理施設に対して通常よりも大きな負荷となる。当然、それまで想定していた処理場の寿命や維持管理の期間やコストにも影響がある。
・長距離を移動させて処理をすることは、処理の方法としても効果的とはいえない。
これらを前提としながらも、現状で解決がつかないのであれば、別の地域での処理を全て否定する必要はないと考える。
さて、今回の国と自治体の対応の問題はどうだろうか。
1点目の問題。
まず、被災地で本当に処理が不可能なのだろうか。
国を中心とする被災地の再建への態度に大きな疑問がある。
仮設住宅の建設は、大手ゼネコンに丸投げし、寒さ対策をはじめきわめて不十分なだけでなく、地元の仕事の再建にも繋がらないやり方が目立った。一方で、地域の力を活かした再建に取り組んでいる地域も少なからずある。いまだに処理できない、と言っているものは、本当に地域の力を活かした結果なのか。
処理費用をきちんと国が持ち、地域の人に雇用を増やす形で処理する方法が可能でないか。
被災地に処理場を作って、処理の過程で生まれる膨大なエネルギーから発電をすることさえ可能である。ガレキを焼却処分するのだから、火力発電所を増設するのと同じ意味を持つ。
もちろん、これは遠くに運んで広域処理する場合でもまったく同じことなわけだ。
2点目の問題。
放射能汚染されたガレキについて。
放射能汚染ガレキと、通常の廃棄物相当とされるものは区分できるか。
この点に関しては、福島県のガレキは汚染されているとして広域処理からは除かれている。
しかし、岩手県や宮城県のガレキは放射能汚染されていないのかという問題だ。
各地で測定が進んだ結果、汚染は広範囲に広がっていることが分かった。
岩手も宮城も当然汚染されている。同時に、関東でも相当な汚染があるのが実態だ。
よそからモノを持ってくれば、含まれているものはわずかでも絶対量は増える。物理法則の通り。
しかし、それは例えば市内の草木を処分するのと比べてどのような違いなのだろうか。
結局、処理をするのは焼却場なのである。そして、最終処分物はどこへ行くのか。それが問題になる。
処理前から処理後までの放射線量のはあくがまず必要である。
処理前を把握するには、当然ながら移動をさせる前の状態としてわかることが必要なわけだ。
実際のところ、宮城県や岩手県のガレキがどのような状態であるのか正確な情報はほとんど伝わっていない。
実は、この間、市内で処理した一般の廃棄物を処理した後の灰などは、県外に持って行って処分している。
このような実態もあまり知られていない。
わたしは、いま必要なのは、
・被災地のガレキについて正確で詳細な情報を集め、公開すること。
・放射能汚染の被害に対しては全面的に東京電力が賠償すること。
場合によっては東京電力が倒産し、国の管理下になるかもしれない。それくらいの問題である。当然、出資をして利益を得てきた株主にも同様の責任が求められる。消費者が税金や電気料金として負担をこうむるのはそれらがすべて行われても賄えない場合に限るのではないか。
・各自治体は、被災地ガレキの問題の有無にかかわらず、自らの地域の放射能汚染への対策を抜本的に強化すること。自分の地域の住民のいのちに責任を持つこと。
・放射能の問題とガレキ処理の問題を責任を持って住民と論議すること。
だと思っている。
今回、川越市議会は市に対して、先の記事に書いたとおり意見書を出した。
「広域がれきの受け入れ」という形になっているが、決議文をご覧いただければわかるとおり、情報公開と放射能汚染対策、市民への説明を求める内容になっている。
議会でこの問題が話題になった時に、意見が分かれる問題であることを指摘し、全会派の合意を得られる形を模索した結果が今回の決議になった。
様々な条件を設け、一定の議論の土台と情報公開などが担保される文面になっているので、私たち日本共産党も同意したうえで全会一致になっている。
新聞などマスメディアの報道では「がれき受入れ」というタッチで描かれているので、市が受け入れを表明したかのような誤解を多くの人が持ったようだ。これは、これとして、関心を広げた効果はあったようだが、実際には議会からの市への要請であって、今後市がどうするかは注目される。
いずれにしても、あらためて、広く市民の議論となるべき問題だと感じている。
ぜひ、市へも多くの意見を寄せてほしい。